営業並びにディレクターとしてかれこれ15年、市場と企業を俯瞰した第三者視点でナショナルクライアントから中小企業までの数百社のTVCM制作からプリントメディア、WEBまで含めた広告戦略のお手伝いをさせていただきました。

その中でもインターネットの登場は、私の中でも衝撃的でした。

インターネットの登場以前と以降での企業間競争ルールが180度変わったと言っても過言ではありません。

合わせて、広告戦略も180度変わったと言えます。

とは言いましても、人の欲望はどんな時代も本質は変わりません。

ただ、インターネットをふまえてビジネスを再構築しなければならなくなりました。

私が以前在籍していた代理店は某大手経済新聞社と蜜に連携していたこともあり、従来メディアの今後、広告代理店というビジネスモデルの今後、いろいろ考えた中で今の道を歩む決断をしました。

 

では、インターネットが登場して何が変わったのか。

2000年初頭まで振り返ると話が長くなりますので、2010年以降で話を進めます。

 

インターネットが登場して変わった市場変化ことは、

  • デジタルシフト:通信回線の発達、デバイスの進化
  • パワーシフト:購買行動の変化、情報の選択権は生活者

大きくは以上の2点になります。

 

では、デジタルシフトとは何か。

以前は地下鉄で電波が通じず、アンテナを伸ばしてフルフルしていた方もいらっしゃるかと思いますが、今では富士山山頂でも電波が届き、家族にご来光を動画で共有できるほどです。

基地局や通信回線などのインフラの発達は言うまでもなくご理解いただけるかと思われます。

また「ポケベルが鳴らなくて~」という楽曲があったように、今ではポケベルが懐かしい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こちらも言うまでもないかと思われます。

そうです、これら全てデジタルにシフトしていることをデジタルシフトと言います。

 

では次にパワーシフトとは何か?

私もそうですが、ヤマダ電機やビッグカメラへ行き、欲しい商品があった場合、その場で価格.comで最安値を調べてたりしているかと思われます。

専門用語になりますが、私含め生活者が製品やサービスを購入する際の行動を消費購買行動と言い、この消費購買行動が変わりました。

 

消費購買行動プロセスの変化

 

※注:消費購買行動プロセスの詳細は改めて別日に投稿いたします。

また、以前はTVや新聞が多くの家庭の情報源でしたが、今は生活者一人ひとりがインターネットで情報を得ることができる次代となりました。

言い換えれば、情報は企業が選ぶものではなく、生活者が選ぶものとなり、これをパワーシフトと言います。

 

あえて企業間競争ルールが変わったと申し上げるかというと、未だに「実店舗があることが強み」という企業様も少なくなく、改めて実店舗が強みではないことをご理解いただきたく、これまで長々とお話しました。

ではなぜ実店舗が強みでないのか?

例えば、市場を100人とします。

実店舗のスーパーが駅前にあるとします。

駅から100人が出てきます。

100人が実店舗のスーパーのターゲットとなります。

これまではこのような考え方でもビジネスは成立していました。

では、同条件で昨今の消費購買行動特性をふまえてお話しましょう。

電車の中でスマホで広告を見て、お米を購入したとしましょう。

その人は駅から出て、実店舗のスーパーでお米を買いますでしょうか?

この方が若い女性で、実店舗のスーパーから自宅までの距離がバスで15分の場合、上記のような購買行動をしてもおかしくはありません。

これでご理解いただけたかと思います。

実店舗は強みとは一概には言えない市場環境となっているのです。

 

まとめますと、強みとは何か?

それは生活者が感じることです。

また生活者が感じる=ターゲットは全方位ではありません。

中小企業の経営者の方に多いのですが、「ターゲットはどなたですか?」とお聞きすると「買ってくれた方皆さまです。」とお答えいただきます。

確かにおっしゃる通りですが、その中でも購入した背景や理由があるはずで、その背景や理由を深堀りするとターゲットが見えてきます。

インターネットが登場以降は生活者が競合も決めます。

よって企業側が競合とみなしている企業ではないこともあります。

実店舗、インターネット上の店舗、これら全方位からターゲットとなる生活者視点での強みを見つけること=差別的優位点を見つけることこそが重要です。

 

差別的優位点

 

上記は、とある案件で仮作成した差別的優位点を抽出した事例です。

仮作成したものですのでまだ浅い状態ではありますが、おおよそ差別的優位点とは何かを感じていただけるかと思われます。

「ベネフィットを訴求すべき」などと言われていますが、そもそも「ベネフィット」だけでは生活者は選んでくれません。

「この商品欲しいな」と思っても、その後機能や価格を比較する為、あくまでも「ベネフィット」は決定要素の1つでしかありません。

また「差別化」とも言われますが、差別化できていても生活者が欲するものでなければ「差別化」出来ていても買ってくれません。

 

最後に、「実店舗が強み」や「ターゲットは買ってくれた皆さま」という考えは早々に見直すべきです。

特に中小企業の場合、お金も人も大手ほどの資本がない為、何が強みかをきちんと見極めることが、これからを生き残るために必要な視点であると言えます。