作業屋はリプレイスされる。

これはWEB業界だけの話ではありませんが、本日は作業屋がリプレイスされた昨今のアメリカ市場を事例にお話します。

アメリカではWEB制作会社の存在がなくなりつつあります。

全くなくなるわけではありませんが、生き残るには困難を極めます。

ではその理由は何か?

まずは国内市場を整理しましょう。

下記画像は国内インターネット広告費を2006年と2013年と比較したものです。

そもそもインターネット広告費と制作費が約8:2の割合だということを知らない方も多いのではないでしょうか。

これはTVや新聞などの他の従来メディアも同様です。

話がそれてしまいますので、本日はなぜこのような状況なのかは、また別の機会に投稿いたします。

 

2013年国内インターネット広告費推移

 

電通さん発表の資料では、

  • 2014年国内インターネット広告費:1兆519億円

内訳は、

  • 媒体費:8245億円
  • 制作費:2274億円

となります。

では、制作費にフォーカスします。

大手WEB制作会社のIMJさんが数百億、その他にもキノトロープさん、ロフトワークさんなど、上記WEB制作費より差し引いていけば、WEB制作市場を多くの企業で食い合っていることがわかります。

よって、作業屋と捉えられてしまうとコストで比較され始めますので、結果生き残りが難しくなってきます。

 

ではアメリカはどうなのか?

アメリカでは以下の理由でWEB制作会社の存在が難しくなってきています。

  • 多くの企業がインハウス化
  • フリーランサーの急激な増加
  • M&A

全ては企業間競争ルールの変化並びに激化により、企業並びに事業成長の更なるスピードアップ及び低コスト化=効率化が進んだことで、委託会社の存在が危うくなってきている状況です。

また優秀なWEB制作会社は、大手企業へM&Aされています。

下記は昨今のM&AされたWEB制作会社です。

  • 2012年  5月 GoogleがMike & Maaikeを買収
  • 2012年12月 AdobeがBehanceを買収
  • 2013年  3月 FacebookがHot Studioを買収
  • 2013年  5月 AccentureがFjordを買収

どれもグローバル企業が買収していますが、最後のM&Aにはご注目ください。

アクセンチュア以外の買収側企業はご理解いただけるか思いますが、アクセンチュアの買収は意外だと思われたのではないでしょうか。

私は今後同様のことが日本でも起こりうる可能性が高いと思っています。

 

でも、アメリカで起きるので、日本では関係がない話だと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

結論は、既にリーマンショック直後より日本でも同様のことが起きています。

その答えはホテル業界です。

前々社の総合広告代理店在勤の際、ウエスティンホテルやシェラトンホテルなどのスターウッドグループ様などの外資から椿山荘などを展開する藤田観光様の国内企業までの多くのホテル様の担当でしたが、リーマンショック以降は全てのホテル様がインハウス化へと切り替え、今ではメディア枠などは総合広告代理店に依頼することはありますが、ほぼ社内で完結されています。

また保険などの金融業界でも、大手企業より徐々にインハウス化が進んでいました。

決してお隣の国の出来事ではありません。

アクセンチュアのマネージャーであるバイジュー・シャーは、M&Aの際に下記のコメントをしています。

われわれの多くのクライアントにとって、今戦場はユーザーのエンゲージメントに移行しつつある。

そうすると、ユーザーの経験が中核になる。

すなわちユーザーエクスペリエンス。

Manegment Director , Accenture

上記コメントより、UXを実現する手段としてインハウスという組織が必要だと捉えることができます。

 

ではどのようにすればリプレイスされずにいられるか。

答えはいくつもあります。

その1つとして、私の経験をご紹介します。

外資大手ジュエリーブランドの日本参入の際、広告戦略全般をディレクターとして担当したのですが、依頼主の大手総合広告代理店の部長さんが、「君のいるような中堅の総合広告代理店が商品企画が出来るようになるか、生活者の情報をどこよりも持っていたら、うちのような大手でもさすがに考え直さないとね。」と言われたことが今でも頭の片隅に残っています。

言い換えれば、「こんなビジネスしたら儲かりまっせ。部長!」という事業企画からの提案が出来る、又はシンクタンクと言えます。

 

広告という領域でビジネスをしていれば、その本質を考えると全ては人に行き着きます。

人を見て、市場を見て、クライアントを見る。

原理原則をふまえれば、答えは自ずと見えてくるはずです。