知らないでは済まされないWEB領域の法務 【第三回】は、『営業秘密』に関する投稿です。
今回は、受託側の従事者には活きる内容です。
事前にお断りしますが、あくまでも法律の専門家ではありませんので、詳しくは専門家へご相談ください。
まずは第二回の下記問いの答えは○になります。
Q. 通販カタログの配布は『申込みの誘因』でしょうか?
詳細は、第二回をご参照ください。
それでは第三回の『営業秘密』にはいります。
まずは下記問いをお考えください。
営業秘密は、民法又は不正競争防止法のどちらの保護対象でしょうか?
答えは、民法、不正競争防止法ともに保護対象になります。
これをふまえて、ビジネス実務法務検定試験2級の下記問いをお考えください。
営業秘密には、いわゆるノウハウのほか、顧客リストなどの営業情報、商品の製造方法などの技術情報があり、これには特許法や実用新案法などの保護の対象となるものも含まれる。 【ビジネス実務法務検定試験2級】
答えは○です。
はじめの問い同様、ノウハウや営業情報、技術情報などは特許法や実用新案法の対象となるものも重複して含まれています。
上記2つの問いをした理由は、複数の対象となることより、きちんと理解してなければ、リスクとなることをご理解いただきたかった点になります。
『営業秘密』とは何か。
営業秘密の成立要件は下記になります。
- 秘密管理性
- 有用性
- 非公知性
秘密管理性とは、秘密情報へのアクセス制限をかけている状態、ファイルに丸秘マークを付している場合、鍵の付いた棚に管理し、特定の者が管理している場合など。
有用性とは、顧客名簿、製造方法、実験データ(失敗も含む)などの事業活動に有益な情報。
非公知性とは、インターネットに公開されてないなどの公然と知られてない情報。
この3つの要件が揃っていることが『営業秘密』となります。
逆説的に言えば、この3つの要件が揃ってなければ『営業秘密』とは言えません。
実務では、NDA(守秘義務契約書)の際に役立つかと思います。
NDA(守秘義務契約書)締結の際の条項に『営業秘密』がありますが、契約書の内容を読み込むと、受託者側にはきつい条項がたくさんあります。
合わせて損害賠償の条項を確認すると、零細企業では到底保証できない内容だったりします。
それもそのはず、大手を除けば、多くはインターネット上などにあるNDA(守秘義務契約書)をそのままコピーして利用しているところも多いことが背景にあります。
私も大規模サイトのリニューアルの際には、NDA(守秘義務契約書)含め締結しますが、リスクをふまえ、本当に『営業秘密』の要件が成立しているのか、クライアントへ必ず確認します。
それでは最後にもう1問。
下記の問いは○(正解)、×(不正解)、どちらでしょうか?
営業秘密は、該当企業の役員、従業員から漏えいしやすいという特徴があり、その漏えいを防ぐためには、一般に就業規則その他の社内規則によって労務管理を的確に行う必要があるとされている。 【ビジネス実務法務検定試験2級】
答えは○(正解)です。
最後の問いは、『営業秘密』の3つの要件を守られていても、必ずしもそれだけでは成立しないことをお伝えしたいと思います。
3つの要件が守られていても、社内で管理(就業規則など)してなければ、注意義務を怠っていることになります。
例えば、管理職の方が『営業秘密』の3つの要件を守る義務を怠り、民法上過失があると見なされた場合、契約解除につながることも、損害賠償責任となることもあります。
受託側で言えば、3つの要件が守られていても、それを実現する規則がどうなのか、そこまで確認することも、リスクを回避する方法の1つでもあります。
ここまで確認することはほぼありませんが、知っていて損はないかと思います。
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