知らないでは済まされないWEB領域の法務【第二回】、今回は『意思表示』に関しての投稿します。

WEB領域、特にECビジネス従事者の方々には活きる内容かと思います。

事前にお断りしますが、あくまでも法律の専門家ではありませんので、詳しくは専門家へご相談ください。

 

まず、ビジネス実務法務検定試験2級の問題をお考えください。

事業者が商品を販売するためにインターネットのホームページ上に商品を掲載しており、これを見た消費者が商品を購入する旨の意思表示を電子メールにより行った。この場合、一般に、事業者によるホームページ上への商品の掲載が契約の申込みの意思表示に当たり、消費者からの電子メールによる購入する旨の意思表示が承諾の意思表示に当たる。 【ビジネス実務法務検定試験2級より】

正しければ○、間違いであれば×、どちらになると思いますか?

答えは×です。

上記は、ECサイトではごく当たり前すぎて、何が間違いなのかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

商品を掲載していないECサイトは商売できませんし、存在しないのではないかと思われます。

そして購入する旨の意思表示を電子メールにより行ったとある為、以前はメールで購入の意思表示をしていたかと思います。

 

この問題の間違いは、下記の箇所になります。

事業者によるホームページ上への商品の掲載が契約の申込みの意思表示に当たり、消費者からの電子メールによる購入する旨の意思表示が承諾の意思表示に当たる。

『商品の掲載』が『契約の申込みの意思表示』。

『電子メール』が『承諾の意思表示』。

これでおかしい点が何となくご理解いただけるかと思います。

意思表示とは、社会通念上一定の法律効果の発生を意図しているとみられる意思(効果意思)の表示行為をいう。 ※Wikipedia参照

例えば、あなたがコンビニでジュースを購入しようとしているとします。

あなたは、ジュース代の支払いと引き換えに、ジュースの引渡しを受ける権利を取得することを欲して、ジュースを買いたいという意思表示をしています。

店員は、ジュースの引渡しと引き換えに、代金の支払いを請求する権利を取得することを欲して、ジュースを売りたいという意思表示をしています。

あなたと店員は共に上記の意思表示があるので、両者の意思表示が合致する=売買契約という法律行為が成立することになります。

このように、『意思表示』は法律行為を構成する要素として不可欠のものです。

では、上記のどこが誤りだったのか。

『商品の掲載』が『契約の申込みの意思表示』。

言い換えると、事業者が商品を掲載することが契約の申込みの意思表示のこと。

おかしいですよね。

『電子メール』が『承諾の意思表示』。

言い換えると、消費者の購入する旨の電子メールが承諾の意思表示。

これもおかしいですよね。

正しくは、『商品の掲載』は、契約の『誘因』の意思表示になります。

また、『電子メール』は、『申込み』の意思表示になります。

 

意思表示は、下記の4つの要素が段階的に成立する過程を経て形成されて行きます。

  1. 動機
  2. 効果意思
  3. 表示意思
  4. 表示行為

コンビニでのジュースでの売買契約で言い換えると下記になります。

  1. 喉が渇いた
  2. よし、ジュースを買おう(ジュースを買いたいからコンビニに入っていく行為)
  3. ジュースを買いたいからレジにジュースを持って行く(このジュース買いたいからレジへ持って行くよという行為)
  4. レジにジュースを出す(このジュース買いたいですって言ってる行為)

上記のように、売買契約の成立要因には『意思表示』ごとの『承諾』が必要になります。

 

これでカートやフォームがなぜあのような構成になっているのかをご理解いただけるかと思います。

また購入後にメールを送信する必要性もご理解いただけるかと思います。

必ず『確認』での『承諾』を得る必要があるからです。

これでECサイトのカートやフォームは、法令をふまえた上での構成になっていることが理解いただけるかと思われます。

 

それでは最後に問題です。

通販カタログの配布は『申込みの誘因』でしょうか?

答えは次回投稿します。